毎年、1万8000人前後の人が美容師免許を取得して、全国では約50万人が美容師として働いています。
華やかに見える仕事ですが、美容師は労働環境も過酷で悩み多いのが現実ですよね。
- 給料が安い
- 長時間労働
- 職場の人間関係が悪い
- 手荒れや腰痛
- 指名が取れない
などなど…
「アシスタント生活が辛すぎて辞めたい。朝早くから閉店後の練習で終電帰宅の日々。一人前になる前に身体がボロボロになりそう」と語るのは、アシスタント2年目のAさんです。
男性美容師はもっと深刻です。「今の給料では家庭を持てない。トップアーティストになるか、自分の店を持つか、どちらにしてもハードルが高すぎる」
美容師は給料も安く、大変な仕事です。将来のことを考えると転職した方が良いかも?と思う人は多いでしょう。
「でも美容師しかやって来なかったし、他の仕事に転職できるのか?」「どんな転職先があるのかな?」と戸惑いますよね。
この記事では、美容師から転職する場合の成功のポイントを徹底解説します。
この記事の目次
1. 美容師から転職するなら、どんな道がいいか?
美容師からの転職では、大きく2つの道があります。
・美容師を辞めて、違う仕事に転職する
・今の職場を辞めて、美容師として同業他社に転職する
美容師は給与水準そのものが低いです。
マイナビ年収ランキング職種別2018によると、美容師(スタイリスト)の年収は315万円と最低ランクの316位です。スタイリストですからアシスタントを含めると、200万円台になるでしょう。介護関連や事務職よりも低いのが現実です。
業界習慣では、「アシスタントを3年以上やって、やっと一人前」というのが一般的です。その間、低賃金・長時間労働に耐えるという職場が多いでしょう。
美容師転職するなら同業他社だけではなく、他の業界や他の職種も選択肢に含めて検討するのが良いです。
1-1. 美容師から他職種・他業界の転職先
「美容師の経験しかないし…」と、ためらう人も多いですね。
しかし、美容師の接客スキルやコミュニケーション・スキルは他の仕事にも活かせます。美容師の経験や知識が活かせる仕事もあります。他業界や他職種の仕事を紹介しましょう。
1-1-1.美容師の資格や経験が活かせる転職先・仕事
美容業務用品(シャンプー剤や染毛剤・用具・什器など)を扱う卸会社やメーカーの営業職
美容院向けに製品を提案する仕事なので、美容師経験は役立ちます。多少の残業はあっても、労働時間・年収も美容師よりは改善されます。運転免許が必要な所が多いです。
ウィッグ販売や関連サービスのスタッフ(ウィッグ・アドバイザー)
ウィッグ関連は、販売と専用ケアサービスがあります。両方兼ねることもあります。ウィッグの試用や相談・販売、カットやシャンプー・メンテナンスなどの仕事です。美容師資格者歓迎が多いです。正社員なら月給20万円以上。
ブライダル企業のヘアメイク・スタッフ
結婚式場の利用者のヘアセットなどの仕事です。ヘアだけでなく、着付けやメイク・ネイルなどのスキルもあればもっと良いでしょう。正社員なら年収300万円前後から求人があります。美容師資格が活かせます。ブライダルプランナーなどの道もあります。
撮影スタジオの撮影ヘアメイクスタッフ
成人式・七五三などの撮影のヘアメイクや着付けの仕事です。撮影全般に渡ってアシストします。
大手撮影スタジオは雑誌やモデルの撮影、出張撮影などもあります。仕事内容や雇用形態によって給料は異なります。
貸衣装業務を展開する企業のスタッフ
成人式・七五三などの衣装レンタルと同時に、撮影なども手掛けている企業も多いです。受付・接客、ヘアメイクや着付けなど、業務は企業によってさまざまです。正社員なら概ね月給20万円以上です。撮影も手掛ける企業では、美容師のスキルが活かせます。
浴衣・着物レンタルブティックのスタッフ
貸衣装店よりカジュアルな業態で、浴衣の着付け・ヘアセット、小物、撮影などをパッケージにしているレンタルブティックです。着物を着て観光や街歩きをする、着物体験をサポートする仕事です。お客様のヘアアレンジをしたり、小物を選んであげたり、ファッションセンスも発揮できます。
まつげエクステサロンのスタッフ
まつげエクステの施術は、美容師資格が必要です。美容師資格があれば美容師から転職して未経験で入社しても、半年~1年位の研修でデビューできます。手荒れで美容室勤務が無理という方にも良いでしょう。正社員で20万円前後の求人が多いですが、条件が様々なので確認することが大切です。
このように、転職エージェントに登録して、どんな仕事や転職先があるか相談してみるのがおすすめです。美容師からの転職では大手の転職エージェントを2〜3社選んで登録しておきましょう。
美容師から転職でおすすめの大手転職エージェント
- リクルートエージェント業界1位、内定率No1、年収UPなどの交渉力も高い。
- doda業界2位、求人の提案数が多い、面接対策に強い。
- パソナキャリア業界3位、上位2つよりサポートが非常に丁寧、女性にも強い。
- マイナビエージェント業界4位、サポートが非常に丁寧、特に20代〜30代前半に強い。
1-1-2.美容師資格は活かせないが、接客スキルなどが活かせる転職先・仕事
美容部員やエステサロンのスタッフ
美容室と客層が似ているので、美容師の接客経験が役立ちます。美容師から転職しやすい業種ですが、販売ノルマがある場合もありますので求人条件をよく確認することが大切です。
事務職
体力・時間的に美容師では将来家庭と両立するのは難しいと考える人は、事務職を希望する方が多いです。事務職ではPCスキルが必須ですが、大手派遣会社では事務未経験でも研修で派遣先に必要なスキルを身に付けることもできます。派遣事務では時給1200円~1400円程度。
事務系の中でも、データ入力やコールセンターなどはマニュアルがあるので、あまりPCスキルがなくても可能性があります。
他業界の営業職
営業職は正社員求人数も多く、業務内容もさまざまです。不動産取引や金融では、業界の資格が必要な場合もありますが、多くの営業職は資格不問です。広告関連や人材サービス企業の営業などは、美容院を顧客とする所もあります。接客スキルやコミュニケーション能力が役立ちます。
受付やショールームの案内など
PCが苦手な人は、会員制施設(人間ドック専門院やスポーツジムなど)の受付や、住宅設備のショールームの案内なども接客スキルが役立ちます。
このように、転職エージェントに登録して、美容師から転職でどんな仕事や転職先があるか相談してみるのがおすすめです。美容師から転職では大手の転職エージェントを2〜3社選んで登録しておきましょう。
美容師からの転職でおすすめの大手転職エージェント
- リクルートエージェント業界1位、内定率No1、年収UPなどの交渉力も高い。
- doda業界2位、求人の提案数が多い、面接対策に強い。
- パソナキャリア業界3位、上位2つよりサポートが非常に丁寧、女性にも強い。
- マイナビエージェント業界4位、サポートが非常に丁寧、特に20代〜30代前半に強い。
1-2. 美容師は辞めずに、他店舗や他業態に転職する道
美容師の仕事は好きだけど、今の職場に問題があると言う場合は、条件の良い他のサロンに転職する道もあります。
ただ美容師アシスタントからの転職だと、そこからまた3年位の修行が必要になる場合もあります。
美容院でも店によって、顧客やサービスの特徴があります。ここでは、普通の美容院以外の業態や働き方を紹介しましょう。
1-2-1.一般総合サロンとは違う業態の転職先・仕事
ヘアカット専門店
カットに専念できて、手荒れに悩む人に向いています。チェーン展開している企業が多いですが、指名制度はなく大体固定給で待遇も比較的良いようです。残業がほとんどなく、正社員なら月給25万円前後から。定着率も高く、勤続年数も長い傾向です。
ヘアカラー専門店
美容師免許があれば、カット経験のないアシスタントでも転職OKです。マニュアルと研修で施術を習得できます。残業もほとんどなく、閉店後の練習もありません。正社員で月給18万円前後~。
業務委託型美容室
最近、急増しているのが業務委託サロンです。美容室に雇用されずに、「個人事業主」として施術を請け負う形態です。集客や料金設定は基本的にサロン側がやります。施術売上の4割ほどが収入になります。メリット・デメリット、条件を理解した上で検討することが大切です。
福祉美容師、訪問美容師
高齢者施設や病院などに出向き、カットやシャンプー、パーマなど行います。勤務時間が大体夕方迄なので、家庭と両立させたい方にも向いています。パート、正社員と雇用形態は色々です。正社員ならば20万円程度から。要運転免許。
このように、美容師としての働き方も多様化しています。
美容師を辞めて他業界に転職するか、美容師として今とは違う働き方をするか、色々な選択肢があります。
まずは転職エージェントに登録して、どんな転職先やキャリアがあるか相談してみましょう。美容師からの転職では大手の転職エージェントがおすすめです。2〜3社選んで登録しておきましょう。
美容師からの転職でおすすめの大手転職エージェント
- リクルートエージェント業界1位、内定率No1、年収UPなどの交渉力も高い。
- doda業界2位、求人の提案数が多い、面接対策に強い。
- パソナキャリア業界3位、上位2つよりサポートが非常に丁寧、女性にも強い。
- マイナビエージェント業界4位、サポートが非常に丁寧、特に20代〜30代前半に強い。
2. 美容師から転職するか迷ったときどうすればいいか
美容師を辞めたい、美容師から転職しようと決めた人は良いですが、まだ転職するか迷う人もいると思います。
「せっかく美容師資格を取って、今まで頑張ってきたのだから」
「PCもできないし、普通の会社で働く自信がない」
「でも今の給料では、一人暮らしは到底ムリ」
…色々と迷うことが多いすね。
美容専門学校に進学した時には、「美容師になりたい」という想い一筋で、働く目的や、増して美容業界の問題など深く考えていなかったでしょう。高校生くらいでは無理もありません。
まず、自分は美容師や仕事に、何を求めて働くのか?を考えてみましょう。
「転職するか迷う」というのは、社会の現実が判ってきたからで、悩むのも成長と言えます。美容師から転職するか迷ったときの考えるべきポイントと、成功例・失敗例を解説しましょう。
2-1. 美容師から転職するか迷ったときに考えるべきポイント
美容師から転職するか迷ったときは、まず自分の5年後(10年後)にどうなっていたいのか?を考えましょう。
家庭を大事にしながら両立したい人と、将来独立したい人では、転職の考え方も大きく違ってきますね。人生設計と仕事の在り方は車の両輪です。
転職するか迷ったときに考えるべきポイント
- 自分は仕事に何を求めるのか?(例えば、やりがい/沢山稼ぐ/働きやすい環境、など)
- どんな問題を改善したくて転職するのか? 転職で、その目的が叶えられるか?
- 転職することによって、将来のなりたい姿に近づけるか?
働くのは生活するためですが、働くのはお金だけが目的ではありませんよね。
「給料は低くても、人に喜ばれる仕事がしたい」「自分の能力を試せる仕事がしたい」など、仕事に何を求めるか?は人それぞれです。
自分が求めるものと仕事が一致していれば、仕事のやりがいも感じ幸せでしょう。
しかし一致していなければ、給料が良くてもストレスを感じ幸せではないですね。
アメリカのキャリア研究者で、コロンビア大学教授だった ドナルド・E・スーパーがまとめた「14の労働価値」を紹介します。「働く」ことについて、個人が重要性・必要性を感ずる価値観です。
ドナルド・E・スーパーがまとめた14の労働価値
- 能力の活用=自分の能力を発揮できる
- 達成=良い結果が生まれたという実感を持てる
- 美的追求=美しいものを創り出せる
- 愛他性=人の役に立てる
- 自律性=他からの命令や束縛を受けず、自分のチカラだけでやっていける
- 創造性=新しいものや考えを創り出せる
- 経済的報酬=たくさんのお金を稼ぎ、高水準の生活を送れる
- ライフスタイル=自分の望むような生活を送れる
- 身体的活動=身体を動かす機会を持てる
- 社会的評価=社会に広く仕事の成果を認めてもらえる
- 冒険性=わくわくするような体験ができる
- 社会的交流性=いろいろな人と接点を持ちながら仕事ができる
- 多様性=多様な活動ができる
- 環境=仕事環境が心地よい
これらの価値の中で、あなたとっての優先順序がありますね。あなたにとって重要な価値が、今の会社・仕事と合っているか?合っていないとしたら、どういう働き方なら良いのか?考えてみましょう。
イヤなことから逃げ出すのでは、転職は成功しません。自分が仕事に何を求めるのか?自分が何のために働くのかを今一度考えてみましょう。
2-2. 美容師から転職〜成功例と失敗例
美容師から他分野に転職した場合の、良かった例と失敗例を参考として挙げましょう。
美容師から転職して良かった例
- 土日が休める。GWや年末年始の休暇がゆっくり取れる。
- 残業が少なく、終業後に買い物もできる。残業代もちゃんと支払われる。
- 手取りはあまり変わらないが、社会保険など福利厚生も充実していて待遇アップにつながった
- 昇給や昇進制度もあるので、将来に夢が持てる
- 組織や取引先に良くも悪くも様々な人がいて、刺激になり視野が広がった
美容師から転職したけど失敗だったかも例
- 一日中PCの前に座りっぱなしで、あまり人と話すこともなく、つまらない
- 事務作業に慣れていないので、ミスが多くて辛い
- 会社の組織や指示系統、上司・幹部などの複雑な人間関係が大変
- 服装やヘアなど、少し派手だと嫌味を言われたりして堅苦しい
- 給料の良さに惹かれて転職したが、ノルマが過酷でブラックまがいだった
- 仕事の頑張りと評価や給料が直接つながらず、やりがいがない
美容師から他分野への転職は、労働条件が改善される可能性が高いです。
一方、「こんななずではなかった」という失敗も起こりやすいです。その多くは事前の情報不足によります。自分の視野だけでは失敗することもあります。
第三者の力を借りて、広い視野で転職活動することが成功への道です。転職エージェントに相談するのがお勧めです。次に説明しましょう。
2-3. どちらにしろ悩んだら一歩踏み出してみましょう!
転職するか迷っている間にも、時間はどんどん過ぎて行きます。
もしも、他業界・他職種への転職を考えているなら、20代のうちに早めに行動しましょう。
転職では20代後半になると経験者との競合が増え、年を重ねる毎に未経験者は不利になります。
中途採用求人数も、未経験分野の転職は30歳を過ぎると優良求人案件が激減します。
転職するか悩んでいる方は、美容師の世界しか知らない人が大半でしょう。
美容師の仕事しか知らずに転職活動するのは失敗を招く場合もあるので、視野を広げることが大切です。
1人で悩んで問題を先送りしていても、状況は改善されません。
転職のプロに相談するのが、近道です。転職エージェントは多くの転職者を見ており、様々な業界や仕事の情報も豊富です。納得いかなければ、転職しないという決断もアリです。
3. まずは気軽な相談相手を作るところから始めよう
いきなり転職活動といっても「何をどうすればいいのか、分からない」という方も多いですよね。
職場の同僚などに相談するのは望ましくありません。辞めたがっているという話が職場にもれると、仕事がしにくくなる場合もあります。
1人1人に寄り添って転職活動の相談に乗ってくれる、転職エージェントがおすすめです。
3-1. 転職エージェントというサービス(転職支援サービス)
転職エージェントは、企業と求職者をマッチングさせる転職支援サービスです。
転職相談から求人紹介、採用選考まで、転職活動の全てに渡ってサポートしてくれます。
転職エージェントを利用するメリットは色々ありますが、一番大きいのは転職活動の不安を直接相談できるという点ではないでしょうか。
特に初めて転職や美容師から未経験の分野への転職は、不安でもあり、実際リスクも伴います。
採用選考に落ちるとショックですし、それが重なって転職活動をあきらめる人も多いのです。
転職エージェントは、二人三脚で励まし、アドバイスをしながら転職活動をサポートしてくれます。無料で利用できるので、活用しない手はないですね。
大手の転職支援サービスは求人数も多く、非公開求人も沢山あるので、独力で転職活動するよりはるかに効率的です。
担当者との相性も大事なので、複数の転職エージェントに登録すると良いでしょう。
美容師からの転職でおすすめの大手転職エージェント
- リクルートエージェント業界1位、内定率No1、年収UPなどの交渉力も高い。
- doda業界2位、求人の提案数が多い、面接対策に強い。
- パソナキャリア業界3位、上位2つよりサポートが非常に丁寧、女性にも強い。
- マイナビエージェント業界4位、サポートが非常に丁寧、特に20代〜30代前半に強い。
3-2. 転職エージェントは、こんなサポートをしてくれる
転職エージェントが、具体的にどんなサポートをしてくれるのか?下記に挙げましょう。
- 求職者の経歴・労働条件や仕事の希望などをヒアリングして、キャリア相談に乗ってくれる
- 求職者の経歴などから、強みや自己PRのポイントをアドバイスしてくれる
- 求職者に合いそうな求人案件を紹介してくれる
- 応募書類作成のアドバイスや、添削をしてくれる
- 面接選考のアドバイスや対策など協力してくれる
- 面接選考の日程調整やセッティングをしてくれる
- 入社時期や給料などの面倒な交渉を代行してくれる
- 求人票だけでは判らない、応募企業の求人背景や雰囲気などを教えてくれる
転職エージェントは、サービス地域が限定される場合がありますので、地域を確認しましょう。
(この記事で紹介している転職エージェントは問題ありません)
3-3. 転職サイトで情報収集する
転職サイトは、専任の担当者は付かず、自分で求人を探してサイトから応募します。
転職サイトのメリットは、気軽に応募できることです。
また転職エージェントは主要都市に限るサービスもありますが、転職サイトはほぼ全国地域をカバーしていますから、地方の転職活動には必須です。
転職サイト活用のポイントを挙げましょう。
3-3-1. 転職の相場を調べる
どんな条件でどんな仕事があるのか?どんな求人が多いのか?など、転職の予備情報として大体の相場をつかんでおくことが大切です。
転職サイトは最大手の「リクナビNEXT」と「doda」に登録するのがおすすめです。
3-3-2. コンテンツを活用する
大手サイトは転職活動のノウハウや自己分析ツールなどのコンテンツが充実しています。今すぐ転職するつもりがなくても、ぜひ登録して利用してみましょう。
リクナビNEXT「グッドポイント診断」:あなたの強み・長所を見つける無料診断サービス
3-3-3. 転職セミナーやイベントに参加する
サイト独自の転職セミナーや講座、転職フェアなどのイベントを開催しています。参加すると刺激になるでしょう。
doda転職フェア
3-3-4. 特集コーナーを活用する
大手総合サイトでは、「未経験転職特集」や「女性活躍特集」などの特集を組んでいます。テーマに積極的な求人を特集しているので、効率的に探せます。
3-3-5. 求人票をしっかり読み込む
転職サイトは求人票が頼りです。「未経験者可」と「未経験者歓迎」では採用意図が違います。「20代女性活躍中」とあれば、30代が応募しても可能性は低いです。
4. 美容師からの転職で重要なポイント
美容師から転職する場合は、求人探しや採用選考などでいくつか注意すべき点や重要なポイントがあります。
4-1. 転職活動の注意点
求人企業では、学歴・年齢・経験などで、内部で条件フィルターを設定している場合もあります。
応募先を探すに当たって重要なのは、当り前のようですが「門前払いを食わない」ことです。
4-1-1.学歴条件を確認すること
美容師の多くは、高卒後に美容専門学校で学んで美容院に就職しているでしょう。
美容業界で働く場合は、専門学校の学歴は有効です。しかし他分野の仕事では美容専門学校の学歴はほとんど評価されず、高卒程度と見なされます。
求人案件によって、学歴条件が「短大・大卒以上」という場合もあります。応募の際には、学歴条件を確認することが大切です。
4-1-2.年齢条件を確認すること
他分野の未経験転職は、年齢制限を設ける企業もあります。
「未経験者は技能習得に教育期間を要するため35歳未満」などの表記がたまにあります。
転職市場では、未経験転職の場合は、30歳を過ぎると非常に難しくなります。
他分野に転職する場合は、20代のうちに転職することです。
4-1-3.PCスキルの必要度もチェックする
美容師は、PCスキルや事務作業能力が低いと見なされる場合が多いです。実際、美容師は仕事でPCを使うことがほとんどないですよね。
事務系ではPC作業は付き物で、ワード・エクセルを条件にする求人案件が多いです。
自分で勉強したり、PC関連の資格を取得しておくのも方法です。
派遣事務では、PC研修を設けている派遣会社もあります。
4-2. 履歴書
履歴書では、内容も大事ですが、社会人としてのマナーという点も見られます。
転職エージェントに登録すると、履歴書の書き方もアドバイスしてくれます。
美容師からの転職で、特に注意すべき点を以下に挙げます。
・写真=髪の色・髪型・服装は、転職活動用に地味目にして撮影した方が無難です。
美容師の方は普段ファッショナブルなヘアスタイルにしている方が多いですが、転職活動では注意が必要です。
・特に指定がなければ、手書き・データ入力はどちらでも構いません。
手書きの場合は、美文字でなくても丁寧に書くことが大切です。間違えた場合は書き直します。
データ入力は、変換ミス・誤字・脱字などに注意しましょう。
・転職経験のある場合は、自己都合退職は「一身上の都合」、会社倒産などの場合は「会社都合により退職」や、契約期間による場合は「契約満了」の表記が履歴書では一般的です。
4-3. 職務経歴書
書類選考では、職務経歴書がポイントになります。
職務経歴書は使いまわしせず、応募先の職種や業務内容に合わせて書くのが望ましいです。
そのためには、応募先の企業研究や職種研究が大切です。転職エージェントに相談して、求人背景や望む人材のイメージを良く聞いておきましょう。
職務経歴書では、ここを見られる!
- 応募業務をする能力があるか
- 仕事への意欲や取組姿勢
- 美容師から転職する理由とその妥当性
採用側の人は美容師の世界を知らず、「カットやパーマをする仕事」くらいにしか思っていないでしょう。自社の業務が出来るのか?疑問に思っているはずです。求められる業務をする能力があること、あるいは習得する意欲があることを伝えることが大切です。
美容師の経験・スキルから応募先の業務で活かせる点をアピールすることがポイントです。
営業職への応募ならば、「丁寧にヒアリングして顧客の要望を引き出す能力」などは強みになります。事務職ならば、「職場全体を見渡して、適宜ヘルプに入り、気遣いする能力」はアピールになります。
パート・アルバイト就業は基本的に書かなくても良いですが、3か月以上の空白期間があると疑問を抱かれます。応募先の業務に関連する経験があれば、記載する方が良いです。いずれにしても空白期間がある場合は、きちんと説明できるようにしておきましょう。
4-4. 志望動機・転職理由
志望動機や転職(退職)理由は必ず聞かれます。
応募先への熱意や意欲がしっかり伝わるように、結論を先に述べ、その理由という順番にします。
自分の強みや経験と志望動機を絡めると説得力が増します。
履歴書の志望動機と面接の質疑に矛盾があると突っ込まれますから、よく考えておきましょう。
採用する側は「なぜ美容師から、全く違う分野に転職するのか?」が気になります。
前職の不平不満ではなく、未来志向で新たな分野に挑戦する熱意を示すことが大切です。
4-5. 自己PR
自己PRは、抽象的な言葉では説得力がありません。
美容師経験をもとに具体例を用いて、人柄と能力をアピールしましょう。
例えば、コミュニケーション能力をPRする場合は、リピート率を挙げたなどの実績をもとにすると説得力が出ます。また、お客様からこういう声を頂いたなどの具体例も良いでしょう。
職場で工夫したり改善した例、後輩の指導経験などもあれば立派なアピールになります。
5. 美容師からの転職に関してよくあるQ&A集
美容師からの転職に関して、よくある質問を集めてみました。
5-1.女性で美容師から転職したい
Q) まもなく結婚予定ですが、家庭との両立が難しそうなので他職種への転職をしようか悩んでいます。家庭と両立できる仕事はどんなものがありますか?
A) 派遣という働き方を考えてみてはいかがでしょう。希望の勤務時間や勤務地が選択できます。
未経験でも可能な仕事もあります。美容師資格を活かすなら、派遣美容師という働き方もあります。派遣会社の登録説明会に参加してみましょう。
5-2.男性で美容師から転職したい
Q) 給料が安くて、将来の生活設計が不安です。未経験でも正社員に転職は可能でしょうか?
A) 給料重視で転職を考えるならば、給与水準の高い業界・職種に転職すると良いでしょう。
未経験でも正社員求人が多いのは、営業職です。給与水準は業界により違い、金融や不動産関連は比較的高いです。固定給か歩合給か給与制度は企業によって違うので、よく検討しましょう。
運送業などは、最近は人材確保のために給与水準や待遇がアップしています。
5-3.美容師から転職する際の資格について
Q) 美容師から転職する場合、資格を取得すると転職に有利になりますか?どんな資格が良いですか?
A) 運転免許を要件にする求人は多く、運転免許は取得しておくと選択肢が広がります。次に、PC関連の資格です。美容師はPCスキルが低いと見られるので、PC資格を取得しておくとPCスキルの証明になります。事務系を希望するなら取得しておくと良いでしょう。
美容師から転職したい職種が明確ならば、その業務に関連する資格を取得しておくと意欲や努力は評価されるでしょう。
5-4.未経験の転職に関する質問
Q) 美容師の経験しかないのですが、未経験でも転職できるでしょうか?
A) 未経験者OKの求人で多いのは、営業職、販売職、接客・サービス業、介護職、運輸関連、製造関連などです。ただ未経験転職の場合は、年齢に上限を設けている場合もあります。
5-5.美容師の資格を活かす仕事について
Q) 美容師から転職する際、サロン以外に美容師の資格が活かせる仕事はありますか?
A) まつげエクステ、福祉美容師・訪問美容師、ウィッグ・アドバイザー、ヘアカット専門店、ヘアカラー専門店などは美容師資格者を求めています。
5-6.転職時の年齢について
Q) 30代で美容師からの転職は可能でしょうか?
A) 30代で転職するなら、経験が活かせる同職種や同業界の方が良いでしょう。美容業務用品の卸会社などは美容師経験が活かせます。未経験職種は、30代以降になるとハードルが高くなります。
Q) 店は若い女性客が多く、40代になってからは新規客の指名が取れません。以前からの常連さんも減ってきて、給料が減って生活が苦しいです。40歳過ぎてから美容師から転職は可能でしょうか?
A) 40過ぎてから転職するのであれば、まず美容師経験が活かせる同職種を検討しましょう。ヘアカット専門店は顧客もスタッフも年齢層が幅広く、40代の人も活躍しています。福祉(訪問)美容師は年齢が高い方はお客様にとっても安心感があります。個人事業者として独立も可能です。
40代で未経験職種への転職は、非常に難しいです。飲食・宿泊サービス業や介護職などは、未経験者でも求人はあります。
5-7.美容師の早期離職について
Q) 美容師アシスタントとして就職して1か月ですが、続けるのは難しいと考えていて辞めたいです。1ヵ月で美容師から転職するのはマズイでしょうか?
A) アレルギーや手荒れなどの理由であれば、やむを得ない事情と言えるので次の仕事を探した方がいいかもしれません。就職して1ヵ月ならば、まだ試用期間でしょう。試用期間とは、そういう時のためにあります。試用期間中の退職は履歴書に記載しなくても問題にはなりませんが、質問された時に理由を説明する必要はあります。
Q) 美容師アシスタントとして就職して半年ですが、長時間労働で休日もろくに取れず辞めたいです。半年で美容師から転職するのは不利ですか?
A) 短期離職は転職に不利です。また、すぐ辞めると思われるので、出来るなら1年以上は続けた方が良いでしょう。しかし身体の健康の方が大事です。在職中に転職活動を開始して、退職は内定してからにしましょう。
Q) 美容師アシスタントとして就職して1年ですが、将来性などを考えると美容師から転職した方がいいのかなと考えています。
A) 美容師から他の職種に転職するのであれば、20代の早い時期の方が良いでしょう。
初めての転職は殆ど問題になりませんが、転職も2度目になると成功率が下がるので、業界や企業研究をしっかりして仕事を選択することが大切です。
6. まとめ
美容師として働き続けることや将来性に不安を持つ人は多いですね。
少子高齢化や女性就労が進み、価値観やニーズが多様化し変化しつつあります。
変化に対応できないサロンは、収益悪化が避けられず、したがって賃金も上がりません。
一方、美容業界に新風を起こそうと頑張っている経営者もいます。
サロンの立地や顧客層、経営者の考えなどを、よく検討して将来性を見極めることが大切です。
そのためには美容業界だけでなく、視野を広げて美容業界の位置づけを考えてみましょう。
転職を考えることは、自分の価値観や人生設計に向き合うことになり今後のために良いことです。
転職したいと思う人・それぞれに事情が違うので、まず転職エージェントに相談してみるのが良いでしょう。