加藤健太
教員・教師は長時間労働やストレスで過酷な日々です。
しかもサービス残業と来れば、転職を考えたくなりますよね。
しかし「教員・教師はつぶしが利かない」と言われるように、転職に二の足を踏む人が多いです。教師からの転職は本当に難しいのでしょうか?
この記事では、
- 教員から転職は難しいのか?その理由は?
- おすすめの転職先はどこか?
- 教員から転職を成功させるにはどうすればいいか?
を徹底解説します。
この記事の目次
教員・教師から転職したくなる理由
部活のあり方を筆頭に、最近やっと教師の働き方が問題になって来ました。
文部科学省「学校および教員を取り巻く状況に関する参考資料」によると、この10年間で教師の精神疾患による休職者は2倍になっています。
また、ブラック部活などが問題となり教師の労働環境が明らかになるにつれ、教員希望者も減少傾向です。「教育新聞」によると、教員採用試験の平均倍率は、平成12年度の13.3倍をピークとして下降傾向で、平成27年実施分では4.9倍まで下がっています。
教員・教師から転職したくなる(辞めたくなる)理由で代表的なものを7つ挙げましょう。
- 長時間労働でサービス残業
- 部活顧問を強制される
- 校務や事務作業に多くの時間を取られ、教師としてのやりがいが感じられなくなる
- 保護者対応の心労
- 問題行動や学級崩壊、生徒指導などの心労
- 職場の人間関係
- 健康上の理由(多くはメンタル不調)
例え忙しくても残業代が出なくても、それが子供の成長のためなら我慢できることもありますよね。
でも、実のない研修や会議や、身勝手な保護者の対応で時間を割かれると、徒労感が大きいものです…。
教員からの転職が難しい3つの理由と解決策
教員・教師から転職したいと思っても、実際に転職に踏み切る人は少数です。
教員資格と運転免許くらいしかなく、転職先は学習塾や予備校くらいしか思いつかない…と思っていませんか?
教員からの転職が難しそうな理由は大きく以下の3つがあります。
- 年収がダウンする、不安定になる不安
- 企業の仕事をイメージできず、自分に何が出来るのか不安
- 転職活動に踏み切るタイミングを逸してズルズルしてしまう
順に解説しましょう。
①年収がダウンする・不安定になる不安
教員からの転職に限らず、未経験の仕事への転職では年収がダウンするのが普通です。
<30歳以降の未経験転職では、ほぼ確実に年収ダウンになるでしょう。
公務員は年功序列型賃金なので、30代以降の安定収入という点では断トツです。
切羽詰まってはいるけれど、安定を手放すほど教員から転職したいか?と考えると尻込みしてしまいますよね。
ただし、そこは自分がどういう働き方・生き方をしたいか?によります。
未経験の転職は(特に教員・教師は)30歳を過ぎると非常に難しくなるので、転職する・しないに関わらず早めに自分と向き合う機会を持っておきましょう。
②一般企業での仕事のイメージがつかめず、何が出来るのか不安
学校は外部との接触が少なく、教員は教育界の内部しか経験がないですよね。人は未知のものに対して、一抹の好奇心と多くの恐怖を抱きます。
学習塾講師の仕事などは想像がつくでしょうが、その他の仕事はブラックボックスに近いのではないでしょうか。利益追求の民間企業への心理的ハードルもあるでしょう。
自分が働く姿や役割を想像できないので、自分の何が役立つのかが判らないのです。
「教員=勉強を教えるのが仕事」と、教員自身も一般企業も思っています。
勉強を教える以外は雑用ばかりで、特別なスキルがないと自嘲する人も少なくありません。
他の働き方を知らないので、スキルがないと考えてしまい転職に二の足を踏んでしまうのです。
しかし、民間企業でも実は仕事の7割は雑用です。学習能力があれば、教員から転職しても一から始められます。
③転職活動に踏み切るタイミングを逸してしまう
教員の多くは学級担任を持っています。年度末には人事案は決まっているので、すぐ次の担任の準備です。学級担任を持っていると、年度途中で退職するのは大事件ですよね。
一般企業では内定から入社まで待ってもらえるのは2か月程度ですから、4月入社に合わせると1~2月に採用選考、3月に退職願・引き継ぎ…と厳しいスケジュールになります。
「とりあえず、もう1年」と思っているうちに教員から転職するタイミングを逸してしまう人は多いでしょう。
超多忙な日々でしかも学年末の1~3月に転職活動をするのはかなりの堅い決意が必要です…。
まとめ:教員からの転職が難しい理由は、自分自身の不安や情報不足が原因
以上の通り、実は教員からの転職が難しい理由の多くは、教員自身の不安や情報不足によるものです。
でもそれは、一人でそのまま抱えていても解決されるわけではありません。
転職する・しないに関わらず、適切な第三者に相談したり、情報を集めることが大切です。
教員から転職するにはどうすればよいのか?
教員にとって転職は馴染みが薄く、転職についての知識や情報が乏しいのが実態です。
教員から転職するしないは別として、乏しい情報の中で働き方や生き方を考えるのは望ましくありません。
まずは良き相談者を持ち、情報を集めよう
仕事探しには、仕事やキャリアのプロからサポートを受けるのがおすすめです。
数多の仕事から自分に合った仕事や会社を見出すのは非常に難しいことです。
多忙な教員は、転職エージェント(無料の転職支援サービス)を活用すると良いでしょう。
転職エージェントに登録すると専任のコンサルタントが付き、転職活動の全てをサポートしてくれます。
前章で「教師からの転職が難しい理由」に挙げた、
- 一般企業での仕事のイメージがつかめず、何が出来るのか不安という問題
- 転職活動のタイミングを逸してしまうという問題
は、転職エージェントを活用することで解決できます。ぜひ相談してみましょう。
教員から転職して、あなたのスキルが活かせる仕事や働き方があるはずです。
- リクルートエージェント業界1位、内定率No1、年収UPなどの交渉力も高い。
- doda業界2位、求人の提案数が多い、面接対策に強い。
- パソナキャリア業界3位、上位2つよりサポートが非常に丁寧、女性にも強い。
- マイナビエージェント業界4位、サポートが非常に丁寧、特に20代〜30代前半に強い。
転職エージェントは企業が求めている人材や採用の裏事情を熟知しているので、本人の希望やスキル・経験に合った案件を紹介してくれます。自分で探すよりずっと効率的で、客観的な仕事探しが可能です。
応募書類や面接のアドバイスも受けられ、面接の段取りや給与交渉などもしえくれるので、忙しくても安心して転職活動ができます。
大手の転職エージェントは、求人が豊富で優良案件が多いです。企業の情報量も多いので、教員から転職するなら大手がおすすめです。2〜3つは登録しておくとよいでしょう。
「転職サイト」で転職情報に馴染んでおくこと
教員の方は転職に関する情報に疎いです。
時間のある時に、転職サイトでどんな職種でどんな求人があるかを見るだけでも参考になります。
大手の転職サイトには、自分の市場価値診断や自己分析ツールなども無料で使えます。
教員から転職するか否かは別として、情報源として登録しておくと良いでしょう。登録は無料です。
教員・教師の転職先の候補は?
教員・教師と言っても「年齢、専門教科、活動歴、小中高校」など個々の事情により転職先の考え方も違ってくるでしょう。
教員から転職の「年齢別の難易度」
20代の教員
20代の教員ならば、未経験で異業種の転職は十分に可能です。早めに転職の情報収集をはじめましょう。
30代以降の教員
30代以降の教員ならば、未経験職種の転職で正社員は難しくなります。年収は最初はダウンすることを覚悟しましょう。以下の職種・業種が狙い目なので、転職エージェントや転職サイトでのリサーチが重要です。
- 教育業界、教育関連業界
- 成長産業や急成長企業
- 人手不足業界や人手不足企業
教員が転職で役に立つスキル・能力
教員・教師は教える以外にスキルがないと考えている人が多いですが、そうでもありません。
- 長時間労働でも責任を持って仕事を続けてきた経験がある
- 規律性、責任感、観察力、理解力、傾聴力、コミュニケーション力などのヒューマンスキルがある
- 集団をまとめたり、準備や段取りに慣れている
- 子供や保護者と接してきた経験がある
- 広範囲で膨大な業務をやりこなしてきた経験がある
- 雑用をてきぱきと片付ける雑用力
これらのスキル・経験は、教員から異業種に転職する場合でも充分役立ちます。
また、元教師という信頼感・社会的信用もプラスになります。
未経験で異業種への転職では、どういう転職先がある?
教員・教師から転職する上で、教員の経験を活かした転職先でおすすめの仕事を紹介します。
これら以外の職種も含め、転職エージェントに自分の希望と強みを踏まえて、キャリアの相談をするのが良いでしょう。
教員・教師のまま学校以外の職場の転職先
学習塾・予備校などの室長や運営スタッフ
教師の転職というとまず、学習塾・スクール・予備校の講師、幼児教室・語学教室などの講師が挙げられます。
講師以外に、教育産業の事務やスタッフ、室長、管理者など運営に関わる仕事もあります。
大手学習塾の運営スタッフ・室長候補などは正社員求人もあります。30代以降の転職では、最も有力な選択肢でしょう。
教員は辞めるが、教員の経験・スキルを活かせる転職先
それ以外の仕事で、教師のスキルが活かせる転職先の候補を挙げてみましょう。
営業や営業企画・セールス
長時間労働でも責任を持って仕事を続けてきた経験やヒューマンスキルが活かせます。
・教育関連出版社・教材会社の営業や営業企画
・保険や旅行商品のカウンターセールス(来店客の相談にのり、商品を説明販売する)
などは教員・教師の経験を活かせます。
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員の資格を取得すると、福祉用具レンタル会社の求人があります。
ケアマネージャーから紹介されたお客様の相談に応じて福祉用具のレンタルの提案や販売、介護保険の手続き、アフターフォローなどを行います。
都道府県知事指定研修業者の「福祉用具専門相談員指定講習」(50時間)を受講すると取得できます。
公益法人などの団体職員やスタッフ
広範囲で膨大な業務をやりこなしてきた経験、雑用力、ヒューマンスキルが活かせます。公益法人は非営利なので、教師からの転職としては馴染みやすいでしょう。
・教育関係や子供関係の公益法人
・資格検定試験や認定機関、教育業界団体などの事務局やスタッフ
・社会福祉協議会の職員やスタッフ
などがあります。
旅行添乗員
添乗員は 『旅程管理主任者』の資格が必要で、国内のみ添乗ができる『国内旅程管理主任者』と国内・海外ともに添乗できる『総合旅程管理主任者』の2種類があります。添乗員派遣会社に登録して、研修・実務経験を積むと取得できます。
(※)一般社団法人 日本添乗サービス協会
NPO法人のスタッフ
小規模な組織が多いので、広範囲で膨大な業務をやりこなしてきた経験、雑用力、ヒューマンスキルが活かせるでしょう。給料は低めですが、やりがいを重視する人に向いています。教育・母子支援・子供関係など、非常に多くのNPO法人があります。
子供関係の指導員など
教員資格や経験が活かせます。
- 学童保育指導員
- 放課後デイサービスの指導員
- 児童発達支援施設の指導員やスタッフ
- 児童館やこども広場などの指導員
その他
・事務職(女性の場合)
・地方公務員(公務員試験合格が必要)
教師生活の中で、教える以外に培ってきたスキル・経験があるはずです。
業務内容と自分のスキルの接点を見出すことがポイントです。
教員・教師から転職する場合の5つのポイント
教員・教師から転職する場合に重要な5つのポイントを挙げましょう。
- 応募先の求人背景や仕事内容をよく理解する。(業界研究・会社研究をしっかりやって、応募業務でどんな役割が求められるのかを理解する)
- 応募先の仕事内容に自分のスキルがマッチするか、どんな貢献ができるかを考える
- 教師を辞めて転職する理由を、ポジティブに志望動機に結び付ける(一貫したストーリーにする)
- 上記の3点を応募書類に落とし込む(抽象的・ありきたりな表現はNG)
- 面接マナー、ビジネスマナーをしっかり学ぶ(教員はビジネスマナーが身についていない人が多い)
この5つが非常に大事です。自分だけでなく、転職エージェントの力を借りると良いでしょう。
応募書類のチェックや面接へのアドバイスなどもサポートを受けましょう。
3月退職・4月入社から逆算して、転職活動スケジュールを立てることも重要です。
通常の転職ですと3か月程度ですが、多忙な教師は余裕を持った転職活動期間を持ちましょう。
また今は、どんな仕事でも最低限ワードやエクセルを扱えるPCスキルは必要です。
まとめ
教師は特別なスキルがなく、他の仕事への転職が難しいと考える人が多いです。
しかし、20代であれば未経験の職種でも充分転職は可能です。
30代・40代以降の人も教員資格や教師経験が活かせる仕事を探しましょう。
採用側は、他の社員と上手くやっていける人柄や、責任感・規律性を非常に重視します。
最も嫌うのは、直ぐに辞められることです。
教師は学習能力もあり、ハードな仕事を続けてきた真面目さや責任感は評価されます。
ただし、企業も正社員一人採用するのは大きなコストです。コストに見合う貢献が期待できるか?が採用のポイントになります。
自分のスキルと応募業務との接点を見出し、貢献できる点をアピールすることが大切です。
転職活動では、転職エージェントの力を借りて転職の可能性を拓きましょう。
スキルの棚卸やアピールの仕方など、とにかく多くのアドバイスを受けましょう。
転職活動は、自分の生き方や働き方に向き合う良い機会です。
転職活動した上で、教師を辞めるか続けるかを最終的に自分で選択すると良いでしょう。
一度きりの人生ですから、納得のいく生き方をしたいものですよね。